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KCUA EXHIBITIONS

センス・オブ・ワンダー

——もしも私がすべての子どもの成長を見守る善良な妖精に話しかける力をもっているとしたら、世界中の子どもに、生涯消える事の無い「センス・オブ・ワンダー=神秘さや不思議さに目を見はる感性」を授けてほしいとたのむでしょう。(レイチェル・カーソン『センス・オブ・ワンダー』より)

本展覧会は、京都市立芸術大学日本画専攻出身の作家達によるグループ展です。
彼女達はすでに日本画家として様々な場で作品を発表し、高い評価を得て来ました。しかし本展では、その自分たちの制作の立脚点である、自然と人間の根源的な関係から導かれる「描くこと」の意義を、あらためて見つめ直します。
例えば、彼女達が日本画を研鑽する過程で繰り返して来た「写生」は、対象を精確に描写する技術を磨くだけでなく、その対象の「生」を感得し、それを自らの「生」と共鳴させながら画面に定着させてゆくための修練として注目できます。「我々が存在しているこの世とは物質的次元の世界で、その取材対象となるものが、形や存在を変えたり、失った時に感情が生まれ、作者、人間としての魂が養われていく。」(岸本)と語るように、彼女達は写生を通じて、森羅万象の様々な変化や推移を捉え、そこから世界の大きなダイナミクスを感じ取っています。
しかし、彼女達はそうした自然との交感を、伝統的な日本画の主題である「花鳥風月」に押し込めようとはしません。むしろ誰もが感じることのできる身近な日常世界——「湿った苔や花の香り、高い空に渡っていく鳥の声、頬をなでる心地よい風、夜の水面に揺れる波紋の輝き」(東端)へと開いてゆきます。
『沈黙の春』で知られるレイチェル・カーソンの著した『センス・オブ・ワンダー』は、そのような作家達の自然への感動、驚きをそのまま言葉に紡いだかのような本です。日本画とはほど遠い西洋世界にある自然への細やかな視線をあえて掲げた本展の展覧会タイトルは、言うまでもなく世界に対峙する人間の根源的な感性は様々な立場や環境の違いを超えて共有できるのだ、という彼女達の希望なのかもしれません。
5人の作家が繰り広げる《センス・オブ・ワンダー》をどうぞお楽しみください。

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作家
岸本志津直海かおり東端哉子堀井陽子吉岡佐知
会場
京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA
展示室
@KCUA 1
会期
2012年2月18日(土)2012年2月26日(日)
お問い
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京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA
Tel: 075-585-2010
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