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文化庁メディア芸術祭京都展《パラレルワールド》関連企画

共創のかたち〜デジタルファブリケーション時代の創造力

今日のものづくりの環境における、デザイナー、アーティストの役割とは何か? 本展覧会は、「共創」をキーワードに、デジタルファブリケーションが提起する新たな問いと、その潜在性を探る試みである。

コンピュータやインターネットによるメディア技術が普及する現在、制作ツールの汎用化、コンピュータ支援制作技術(CAM, Computer Aided Manufacture)などの生産技術がユーザーの創作意欲を刺激し、ものづくりのプロセスを開くと同時に新たな市場を開拓しつつある。オープンソース化を背景とした設計情報の公開は、ネットワークコミュニティの中で従来にない製品を生み出し、「ラピッドプロトタイピング」により、消費者は自ら試行錯誤して創造する喜びを得る。いわば、20世紀に確立した生産と消費をめぐる環境が、技術革新によって大きく変わろうとしているのだ。
振り返れば、消費者による創造は、DIYムーブメントにみるように大量消費社会に対するカウンターとして発生したものであり、市場経済に取り込まれないコミュニティの互助的関係に基づくものであった。その中でデザイナーやアーティストは、独創的な創作を通じて次代のものづくりを促進する一方、ユーザーとの協同による新たな創造領域を開拓していた。こうした精神は近年のメディア技術と結びつくことで、個人と社会の関係を再定義する可能性を持ち始めている。

このような環境において、デザイナー、アーティストには、ツールや技術の可能性を批評的に検証する役割と、それらの可能性を多くの人々に伝え、創造力を底上げするインキュベーターとしての役割が求められている。
さらに、工学の立場からの研究は、従来のものづくり、デザイン、そしてアートにも大きな影響を与えつつあるものである。モダニズムという様式の下に大量生産される製品の美と機能性の関係性によって語られてきた「デザイン」は、もはや全てのユーザーが創造に携わることのできる、ネットワークと生産システムを総合するプラットフォームへとその意味を変えつつある。「アート」を支える素材やプロセス、コミュニケーションの意味も、こうした環境の変化に応じて再定義される必要があるのではないだろうか。
本展覧会では、インターネットを介したオンラインカスタマイズサービス、ラピッドプロトタイピング(3Dプリンタやレーザーカッターなどの試作用工作機械による制作)を応用した作品、デザイン製品の展示、著作権をめぐる研究事例、オープンソース・デザインの事例などを紹介する。同時に、展覧会そのものを「共創」のためのプラットフォームと位置づけ、工学、デザイン、アートから「共創」の可能性を問う。

■展覧会構成
本展覧会は以下の4つのテーマの下に構成されます。

1:「共創」の文化
ユーザーとメーカーの「共創」としてのハーレーダビッドソンのデザイン

2:創造環境の変化
・FabLab Japanにおける研究紹介
田中浩也/TANAKA Hiroya
早稲田治慶/WASEDA Harumichi + 慶應義塾大学田中浩也研究室 Design Machine Group
慶應義塾大学田中浩也研究室 MathFab Group
Fab Commons

・デジタルファブリケーションによるラウンジブースの制作(Work in Progress)
村上瑛里子(MURAKAMI Eriko/環境デザイン)

・アートとデザインと技術の共創の為のワークショップ
(ワークショップとwork in progress)
桃田稔也(MOMOTA Toshiya /WEBデザイナー)+ でんでんタウン電子工作教室

3:技術と表現
・Sketch Chair System(エンドユーザーによる椅子デザインシステム)
Greg Saul, Manfred Lau, 三谷純/MITANI Jun, 五十嵐健夫/IGARASHI Takeo
(JST ERATO五十嵐デザインインタフェースプロジェクト)

・《Latency》(CADとラピッドプロトタイピングによる造形に
漆を施した立体作品)
土岐謙次

・FRU スツール(乾漆椅子)制作プロジェクトの紹介
土岐謙次/TOKI Kenji+東京藝術大学建築科金田充弘研究室/KANADA Mitsuhiro Labo
+平野晴子/HIRANO Haruko

・Open Design Project(インターネットによるデザインの公開/頒布)
Ronen Kadushin(デザイナー/ドイツ)

・PONOKO(オンラインファブリケーションサービスの紹介/ニュージーランド、アメリカ、イタリア)

4:表現のゆくえ
アーティストによるインスタレーション展示
・circle side(安積亜希子/AZUMI Akiko、小笠原寛夫/OGASAWARA Hiroo、
北村博朗/KITAMURA Hiroaki、濱田裕司/HAMADA Yuji /アーティストグループ)
・高橋卓久真(TAKAHASHI Takuma/アーティスト)
・矢津吉隆(YAZU Yoshitaka/アーティスト)+大喜多智裕(OOKITA Tomohiro/CGアーティスト)

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会場
京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA
展示室
@KCUA 1
会期
2011年10月1日(土)2011年11月13日(日)
企画
森山貴之(MORIYAMA Takayuki/京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA学芸員)
伊村靖子(IMURA Yasuko)
企画協力
久保田晃弘(KUBOTA Akihiro/多摩美術大学情報デザイン学科教授)
松井茂(MATSUI Shigeru /東京藝術大学大学院映像研究科特任研究員)
渡邊淳司(WATANABE Junji/NTT科学基礎研究所人間情報研究部感覚情動研究グループ研究員)
主催
京都市立芸術大学
助成
日本芸術文化振興基金
協力
でんでんタウン電子工作教室
株式会社船場
京都芸術センター
トロテック・レーザー・ジャパン株式会社
有限会社東新製作所
MAKE: Japan
株式会社オライリー・ジャパン
後援
クリエイティブ・コモンズ・ジャパン
お問い
合わせ

京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA
Tel: 075-585-2010
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・10/8(土)14:00-16:00
パネルディスカッション:「デジタルファブリケーションの未来像」
※出品者によるプレゼンテーションを踏まえ、本展テーマであるデジタルファブリケーションの可能性について語ります。
五十嵐健夫/高橋卓久真/田中浩也/土岐謙次
ゲスト:渡邊眞(京都市立芸術大学総合芸術学科教授)
モデレーター:森山貴之(京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA学芸員/本展企画)

・10/22(土)14:00-16:00
パネルディスカッション:「共創のかたちと表現の行方」
※メディア技術や制作ツールの進展は、芸術表現やその批評的思考にいかなる変化をもたらすのかについて考えます。
桃田稔也/矢津吉隆+大喜多智裕/circle side
ゲスト:久保田晃弘(多摩美術大学情報デザイン学科教授)
渡邊淳司(NTT科学基礎研究所人間情報研究部感覚情動研究グループ研究員)
モデレーター:伊村靖子(本展企画)

・10/8,15,22(土)14:00-16:00予定
ワークショップ:「アートとデザインと技術の共創の為のワークショップ」
※Arduinoなどを使用して簡単なプログラムを学びつつ、参加者各自が「自分に必要な何か」を開発します。
講師:でんでんタウン電子工作教室、桃田稔也

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