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展示風景 撮影:松見拓也

SPECIAL EXHIBITIONS

京都市立芸術大学移転整備プレ事業/状況のアーキテクチャー 2017 プロジェクト7
「Far Away/So Close: 開かれた共同体」

still moving 2017: 距離へのパトス——far away/so close

2023年、京都市立芸術大学はJR京都駅東側エリア、崇仁地域への移転を予定している。この移転の計画が立ち上がって以来、移転整備プレ事業として数々の活動が崇仁地域を中心に京都市内各所で実施されてきた。なかでも「still moving」は、移転後の大学のあり方を探る実験的なプロジェクトとして継続して行っているものである。第3回となった「still moving 2017: 距離へのパトス——far away/so close」では、「展覧会」というフォーマットに私たちの取り組みを当てはめないことにした。「still moving」と名付けられた期間外にも、移転に向けた活動は続いている。そのため、初めと終わりのあるように見えてしまう「展覧会」ではなく、日々続いている活動をイベント形式で一般公開する期間と位置付けた。形式にとらわれないということは、今回のテーマである「距離へのパトス——far away/so close」にも表れている。「近くて遠い、遠くて近い」で表されるものは、数値で表すことのできる具体的な距離ではなく、あくまで個人の主観に基づいた感覚になるが、その感覚自体、背景にある文化や環境に左右されるものだと言える。「still moving」では、京都市立芸術大学と崇仁地域との間を中心にモノ・ヒト・コトの「移動」を軸とする実験を通して、この「移動」がそれぞれにもたらすものについて考察してきたが、これには、「far away/so close」といった距離の感覚を生じさせている、文化や環境という条件を一度フラットにし、解体あるいは再構築しようという意図もある。
芸術大学というものは、しばしば社会から一つ線を隔てたもののように捉えられるが、郊外型キャンパスから街中に移転した新たな大学は、社会と常に接点を持ちながら、互いに作用し、変化し続けるものとなるだろう。拡張された場における新しい芸術大学のあり方を探る「still moving」のプロジェクトは、その名の通り、流動体のようにとどまることなく動いていくのである。 期間中は大きく分けて9つのプロジェクトやイベントを並行して実施し、終了後もプロジェクトメンバーによるスピンオフプログラムとして「壁塗りワークショップ」が行われた。「壁塗りワークショップ」を経た職員室はその後「ギャラリー崇仁」と名付けられ、若手作家を支援するための移転整備プレ事業「教室のフィロソフィー」を中心とした展示が行われている。

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会場
元崇仁小学校とその周辺
〒600-8202 京都市下京区川端町16
開催日数
16日間
(2017年9月23日(土)2017年11月5日(日))
企画
京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA
主催
京都市立芸術大学
助成
平成29年度文化庁「大学を活用した文化芸術推進事業」
協力
京都市
東アジア文化都市2017京都実行委員会(東アジア文化都市2017京都 アジア回廊 現代美術展 特別連携事業)
崇仁高瀬川保勝会(京都市立芸術大学を核とするエリアマネジメント)
お問い
合わせ

京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA
Tel: 075-585-2010
メールでのお問い合わせは、
お問い合わせフォームからお送りください。

Installation Views

会場写真

  • フローとストック | 写真:松見拓也
  • アナ☆ボル | 写真:松見拓也
Moving Terrace Works | 写真:松見拓也
  • 金氏徹平『tower (THEATER)』公開稽古 | 写真:松見拓也
  • 第7回 漂流するアクアカフェ
  • 崇仁高瀬川保勝会+井上明彦
  • 「高校生の考える京芸移転」発表会
ワークショップ “We are between the Sun and the Earth”——太陽と地球のあいだで

Events

イベント

関連するイベント

金氏徹平『tower (THEATER)』公開稽古

KYOTO EXPERIMENT 2017 公式プログラムとして10月14日、15日にロームシアター京都にて世界初演を迎える金氏徹平の新作舞台作品『tower (THEATER)』の稽古場を公開します。

プロジェクトリーダー
金氏徹平(美術家/京都市立芸術大学美術学部講師)
KYOTO EXPERIMENT 2017
公式サイト:kyoto-ex.jp
金氏徹平『tower (THEATER)』:kyoto-ex.jp/2017/program/teppei-kaneuji
会場:元崇仁小学校
建物/部屋:体育館
日時:2017年9月23日(土・祝)、24日(日)、30日(土)、10月7日(土)、8日(日)、9日(月・祝)各日とも12:00–17:00

 

ワークショップ “We are between the Sun and the Earth”——太陽と地球のあいだで

元崇仁小学校での「影」をテーマとしたワークショップ。制作した日光写真は、プロジェクト期間内、元崇仁小学校に展示します。
影の採集
もうしばらくすると取り壊される元崇仁小学校内の影を、日光写真で採集します。校舎が取り壊されて、更地になってしまうと影もなくなります。残したい影を探します。
影の制作
学校内にあるものや用意したロープや針金などを使って、影を作り、日光写真で記録します。
講師:杉山雅之(美術家/京都市立芸術大学美術学部非常勤講師)、杉山優子(造形作家)
会場:元崇仁小学校
建物/部屋:敷地内各所
日時: 2017年9月23日(土・祝)13:00–15:00、10月9日(月・祝)12:00–14:00

 

アナ☆ボル 考古学フィールドツアー+レクチャー

講師: 畑中英二(陶磁史・考古学/京都市立芸術大学美術学部准教授)
会場:元崇仁小学校
建物/部屋:体育館
日時:2017年9月23日(土・祝)、24日(日)、30日(土)、10月7日(土)、8日(日)、9日(月・祝)各日とも12:00–17:00

 

アナ☆ボル 土練り鍾馗人形制作ワークショップ

講師: 倉智敬子(美術家/京都市立芸術大学美術学部非常勤講師)、高橋悟(美術家/京都市立芸術大学美術学部教授)、畑中英二(陶磁史・考古学/京都市立芸術大学美術学部准教授)
会場:元崇仁小学校
日時:2017年9月30日(土) 13:00–15:00

 

アナ☆ボル「キコエナイヲキク」

穴にまつわる寓意的空間は、キャロルからカフカまで多様なファンタズムの拡がりを有しています。今回は、「キコエナイ」を「キク」という姿勢・作法を試みます。
担当: 倉智敬子(美術家/京都市立芸術大学美術学部非常勤講師)
会場:元崇仁小学校
日時:2017年9月30日(土) 13:00–15:00

 

「高校生の考える京芸移転」発表会

講師: 坂東幸輔(建築家/京都市立芸術大学美術学部環境デザイン専攻講師)
会場:元崇仁小学校
建物/部屋:南館3階 わかくさルーム
日時:2017年10月1日(日) 15:00–17:00

 

崇仁高瀬川保勝会+井上明彦 高瀬川のそうじと崇仁高瀬川保勝会の活動

10月7日(土)高瀬川の掃除、のち元崇仁小学校校内川辺手入れ
日時: 2017年10月7日(日)13:30–14:30
集合場所: 京都市下京いきいき市民活動センター(〒600-8207 京都市下京区上之町38番地/Googleマップで表示する)1階
掃除する場所: 崇仁保育所北側の高瀬川ならびに元崇仁小学校内の高瀬川
11月4日(土)高瀬川の掃除、のち元崇仁小学校内での庭づくりの検討
日時: 2017年11月4日(土)13:30–14:30
集合場所: 京都市下京いきいき市民活動センター(〒600-8207 京都市下京区上之町38番地/Googleマップで表示する)1階
掃除する場所: 崇仁保育所北側の高瀬川ならびに元崇仁小学校内の高瀬川
ミーティングの場所: 元崇仁小学校 校庭もしくは柳原銀行記念資料館

 

Moving Terrace Works: RAD「彷徨う採集車」

採集車(Moving Terrace)で街を巡りながら、街ゆく人のコエ、空地のアイデア、路上のモノを鬼ごっこのような形式で採集するリサーチイベントです。当日の採集作業参加者を募集します(定員10名・参加を希望される方は10月10日(火)までに下記フォームよりお申込ください)。見学の事前予約は不要です。
担当:RAD – Research for Architectural Domain –ほか
会場:元崇仁小学校とその周辺
日時: 2017年9月23日(土・祝)13:00–15:00、10月9日(月・祝)12:00–14:00

 

Moving Terrace Works: Moving Market

京都市立芸術大学の学生有志による作品販売会。販売物(絵画、立体、ハンドメイドアクセサリーなど)には値札をつけず、イベント会場に訪れた人と製作者側とのコミュニケーションによって価格を決めて販売します。
会場:平成の京町家 モデル住宅展示場 KYOMO内広場
共催:京都市下京いきいき市民活動センター
日時: 2017年10月15日(日)11:00–16:00

 

第7回 漂流するアクアカフェ ワークショップ「まちの景色を染める水」

「still moving 2017: 距離へのパトス——far away/so close」の「第7回 漂流するアクアカフェ 」プロジェクトの一環として、下記のイベントを高瀬川の仮設テラスにて行います。
ワークショップ「まちの景色を染める水」
高瀬川の水を使って、ある風景を布に浮かび上がらせます。
当日は川から水を汲みとることから始めます。動きやすい履物・手拭きタオル・お子様は長靴を持参下さい。
会場: 高瀬川の仮設テラス
講師:むらたちひろ(美術家)
日時: 2017年10月22日(日)13:00–14:00

 

Moving Terrace Works: クレープ屋台

クレープ屋台
構想設計研究留学生のガブリエ・バロンタンが、クレープを焼きます。お金ではなく、お話や歌、ダンス、拾ったもの、作ったものなどと交換できます。
担当:ガブリエ・バロンタン(京都市立芸術大学研究留学生)
会場: 元崇仁小学校
日時: 2017年9月23日(土) / 2017年10月15日(日) / 2017年11月5日(日) 13:00–15:00 (各日とも)

 

第7回 漂流するアクアカフェ トーク「川は青かった——〈テラス〉と〈河原〉」

トーク「川は青かった——〈テラス〉と〈河原〉」
第7回 漂流するアクアカフェは、崇仁地区を流れる高瀬川に京都芸大移転基本コンセプトでもある「テラス」を仮設し、その上で行います。今回のアクアカフェ「川は青かった——〈テラス〉と〈河原〉」は、移転計画の要である高瀬川の水の流れを軸に、自然と関わるものづくりの技術のありようと、芸術、社会との関係を、キャンパス計画を視野に入れながら探ります。技術の根源は自然や大地との関わりにありますが、その自然は、京都の川が染め物で使われて色が変わったように、職能民がシェアするリソース(資源)でした。河原はまた多様な人々が集い、田畑や町の空間とは異なる位相で、人と自然、この世とあの世をつなぐ場所でした。自然豊かな沓掛の地から崇仁地区に移転するなかで、きれいごとではない自然との共生を捉え直し、芸術教育・研究の場と地域の自然・歴史の有機的関係を再構築する可能性を、環境デザイン、建築、芸術表現に携わる立場から語り合います。
「テラス」としての京都芸大は、クリエイティブな新しい「河原」をどうつくりだせるでしょうか。
会場: 高瀬川の仮設テラス
ゲスト:森本幸裕(景観生態学/ランドスケープデザイン/京都大学名誉教授)、やなぎみわ(美術家/演出家/京都造形芸術大学教授)
聞き手:榊原充大・本間智希(建築リサーチ/RAD – Research for Architectural Domain)
参加推奨: 10月7日(土)ないし10月22日(日)の高瀬川の掃除に参加すること
日時:  2017年10月22日(日)15:00–17:00

 

Re Play: 未完の記譜法 映画ワークショップ「トポグラフィックシネマ×シネマティックボディー」

映画ワークショップ「トポグラフィックシネマ×シネマティックボディー」
体育館に設置した建築構造体と、参加者達の身体行為をドローンで撮影します。また空間の演出として、照明やスモークも使用します。地域の未来のお祭りへの手がかりになるかもしれません。
担当:石橋義正(美術家・映画監督/京都市立芸術大学美術学部准教授)、立川普輔(カメラ)、小西小太郎(照明)ほか
会場: 元崇仁小学校
日時:  2017年10月22日(日)15:00–17:00

 

崇仁高瀬川保勝会+井上明彦 「川どこここそこ —崇仁テラススケッチ—」

担当:遠藤亜季(京都市立芸術大学大学院美術研究科修士課程 絵画専攻 油画 在籍 M2)
会場:高瀬川の仮設テラス
協力:崇仁高瀬川保勝会(京都市立芸術大学を核とするエリアマネジメント)
日時:2017年11月4日(土)11:00

 

「アナ☆ボル」体験カラオケ

アナの底から見える世界には、アナの上から見えるそれとは、「異なる距離:パトス」があります。アナの中へ、あるいはアナの底で、あなたは、何を伝えるだろうか? ネットライブ配信も計画しています。
担当:高橋悟(美術家/京都市立芸術大学美術学部教授)
会場: 元崇仁小学校
建物/部屋:北館1階 更衣室
日時:2017年11月4日(土) / 2017年11月5日(日) 13:30–15:00 (各日とも)

 

still moving 2017 スピンオフプログラム「壁塗りワークショップ」

元崇仁小学校の職員室を解体工事までの期間限定のアートギャラリーとして改修しています。改修工事の仕上げとして展示壁を塗装するワークショップを行います。
講師:坂東幸輔(建築家/京都市立芸術大学美術学部講師)
会場: 元崇仁小学校
建物/部屋:北館1階 職員室
日時:2018年1月13日(土) 10:00–15:00

 

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