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展示風景 撮影:大島拓也

KCUA EXHIBITIONS

京都市立芸術大学美術学部同窓会展

部屋と宇宙と眠らない夜——1990年代前半を中心に

1980年代の卒業・修了作品を中心に紹介した2016度の同窓会展に引き続き、1990年代前半の作品を扱った。1990年代前半とは、国外において は東西ドイツの統一と冷戦終結、ソ連解体とグローバル化の加速、湾岸戦争での多国籍軍によるイラクへの攻撃などが、日本国内においては、バブル経済のピークからその崩壊、そして阪神・淡路大震災、地下鉄サリン事件が人々に大きな衝撃を与え、のちの社会を大きく動かすことになる現象や出来事のあった激動の時代であった。美術界の動きとしては、このような社会の動きからか、自らの新たな立ち位置を模索するような傾向が見られるようになる。また、貸画廊ではなく、オルタナティブな作品発表の場所を自分たちで開拓していくような動きも若手作家の中で活発化するのだが、本学学生たちも例外ではなく、学生の下宿アパートなどさまざまな場所を展示の場として使用するようになっていく。90年代前半は 、 バブル崩壊から「失われた20年と も呼ばれる長く続いた不景気の始まりというネガティブなイメージで捉えられがちな時代でもあるが、本展にて展示した作品からは、この時期特有の若き表現者たちの躍動感、高揚感を見て取ることができた。また、同じく2016年度の同展に引き続き、資料研究(状況のアーキテクチャー2017 プロジェクト2Still Moving: The 80s」)の発表の場としての「アーカイバル・プラクティス・ラボ」の公開も合わせて実施した。 二つの壁面にはプロジェクトメンバーによって制作された80年代から90年代前半の年表と京都市内の地図とを設置した。来場者も自由に情報を付け 加えることを可能としたところ、同窓会生からは当 時の本学や学生の動向に関する情報が、また一般の来場者からはより広い視点での情報が得られた。また、「 眠らない夜のアーカイブ会議」と題して、原久子氏には主に編集者としての視点から、島敦彦氏 にはキュレーターとしての視点から捉えられた当時の状況を語って いただいた。「部屋と宇宙と眠らない夜」では、収蔵場所の問題もあり買上対象から外れたこともあって彫刻作品の展示がなかったのだが、1992年に国立国際美術館にて開催された「彫刻の遠心力」展についての島氏による詳細な解説は、それを補完して余りある貴重なものとなった。

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会場
京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA
展示室
@KCUA 1
開催日数
14日間
(2018年2月17日(土)2018年3月4日(日))
企画
京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA
状況のアーキテクチャー 2017 プロジェクト2「Still Moving: The ’80s」
主催
京都市立芸術大学
京都市立芸術大学美術学部同窓会象の会
助成
平成29年度 京都市立芸術大学 特別研究助成 2017-004
お問い
合わせ

京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA
Tel: 075-585-2010
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