菱木明香《自然のかけら》2017–、羊皮紙に水彩

KCUA OPEN CALL EXHIBITIONS

Still, life — まだ、生きてます

栗田咲子、菱木明香、リース直美

静物画を英語で「still life」(動かない生命)と表すのはよく知られたことですが、例えばフランス語では「nature morte」、イタリア語では「natura morta」(死んだ自然)となることから、西洋では古来、動くものが生と見なされてきたのだと考えられます。一方、日本語で「still life」を「静かな物」と訳したのには、日本では八百万の神々として自然物や自然現象を神格化し、万事に命が宿ると考えられてきたことが関係しているのかもしれません。では、現代に生きる私たちは果たして「生」をどのように捉えているのでしょうか。

静物画=still life、またその間にコンマを入れて“Still, life”とすると「まだ、そこに命がある」「まだ、生きている」という意味に転じます。このたった一つの小さな記号が、言葉の意味を大きく変える力を持っているのです。日常的なものを起点として広がる世界を描く3人の作家、栗田咲子、菱木明香、リース直美によって企画された本展では、こうした言葉遊びを手がかりとして、何気なく通り過ぎていく日常の中にある「生」とは何かを考えるアーティストのまなざしが示されます。誰もが日々目にしているようなありふれた場面で、少し視点を変えて物事を見つめてみると、世界が大きく違って見えてくる。そんなマジックが起きる瞬間を鑑賞者と共有するためのスイッチが、そこには仕掛けられています。

そしてそのスイッチは、みる人それぞれに違ったマジックの効果をもたらすことでしょう。私たち一人一人が世界を見つめる視点に、同じものは一つとしてないのですから。この展覧会が、日常を彩る「生」に溢れた、めくるめく世界への入り口となりますように。

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作家
栗田咲子菱木明香リース直美
会場
京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA
展示室
@KCUA 1
会期
2021年11月13日(土)2021年12月5日(日)
開館時間
11:0019:00
休館日
月曜日
入場料
無料
お問い
合わせ

京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA
Tel: 075-253-1509
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Artist Profiles

作家プロフィール

栗田咲子(くりた・さきこ)
画家。人、動物、植物など身近なものを題材に、一つの風景として絵画に組み立てる。脈絡なく寄せ集めたモチーフたちは勝手に響き合い、付かず離れずの関係を作る。愛のあるユーモアを根底に、考えることを手放したくなるような心地よい絵画空間を追求している。

1972 岡山県生まれ 
1997 京都市立芸術大学大学院美術研究科絵画専攻油画 修了
大阪府在住

2010 『絵画の庭—ゼロ年代の地平から—』国立国際美術館/大阪
2008 『Exhibition as media-LOCUS-』神戸アートビレッジセンター/兵庫
2000 『VOCA2000』上野の森美術館/東京
1999–2021 フクガンギャラリー/大阪、ギャラリーモーニング/京都 などで個展・グループ展
パブリックコレクション 国立国際美術館/大阪
菱木明香(ひしき・あすか)
絶滅危惧種の珍しい植物から冷蔵庫の中で腐りかかった野菜まで身近な自然のかけらを淡々と描くという仕事を続けている。2013年頃からは古紙を使ってオオカバマダラの大移動をテーマしたインスタレーションなど、人の営みと自然の存続の間に起こる環境問題を取り扱った作品も展開している。また多くの作家と共に世界の植物園で滞在制作などを通し何十年とかけてその植物園に植栽されている植物の膨大な記録花譜(florilegium)を残していく取り組みにも参加している。

1972 京都府生まれ 
1997 京都市立芸術大学大学院美術研究科絵画専攻油画 修了
兵庫県在住

パブリックコレクション;The Huntington, Kew garden, Hunt institute, New York State museum, Shirley sherwood collection, The national tropical botanical garden, The Denver botanic garden, 他

Instagram: @greenasas  
リース直美(りーす・なおみ)
紙、布、のり、などの日常的な素材を使って平面作品を制作し、ユートピア建築、温室ガーデン、そして最近ではリビングルームやダイニングテーブルといった静物など、多岐にわたる理想的な空間を取り上げている。Transmitter(ブルックリン, NY)、Youkobo Art Space(東京)、Mixed Greens(NY, NY)で個展または二人展、Brooklyn Academy of Music(ブルックリン, NY)、Wave Hill(ブロンクス, NY)などでグループ展を開催。 2018年にジョーン・ミッチェル財団のPainters & Sculptors Grantを受賞。2015年にはNYFA絵画部門のファイナリストに入選。 彼女の作品を支えてきたアーティスト・イン・レジデンス・プログラムには、ヤドー、ロバートブラックバーン版画ワークショップ、ローワーイーストサイド版画ワークショップ(NY)が含まれる。

1976  滋賀県生まれ
2005  University of Pennsylvania Graduate School of Design 美術学部 修了
ニューヨーク市ブルックリン在住

Instagram: @naomikawanishireis

Artworks/Photos

参考作品画像など

  • 栗田咲子《茶の間任侠堂》2008、キャンバスに油彩、W 91 × H 72 cm
  • 栗田咲子《白のカンガルー》2009、キャンバスに油彩、W 130.2 × H 97cm
  • 栗田咲子《グラウンド・ザリ》2008、キャンバスに油彩、W 53 × H 65.2 cm
  • 菱木明香《Arch of Monarch butterfly》展示風景、2013、ミクストメディア、W 307.5 × H 396 cm
  • 菱木明香《Heirloom tomato (Animas en el Agua)》, 2019–2020、紙に水彩、W 35.5 × H 27 cm
  • 菱木明香《自然のかけら》2017–、羊皮紙に水彩
  • リース直美「Paradise Constructed」展示風景 (Mixed Greens, New York, NY/2015)
  • リース直美《Borrowed Landscape III (Tropics of Africa, Asia and the Amazon via Brooklyn)》(部分)2014、和紙、マイラーフィルム、アクリル、額、壁紙に顔料インク 、W 247 × H 277 cm
  • リース直美《71220 (9:17am)》2021, ファブリアーノ紙に和紙、マイラーフィルム、アクリル、W 237 × H 140 cm