SPECIAL EXHIBITIONS

Slow Culture

80年代後半から90年代前半生まれのアーティストを特集し、描き手の身体とダイレクトに結びついた物質的な実践としての「絵」に焦点を当てます。

誰もが写真や映像を撮影し、大量の画像データとして即時に共有することが当たり前となったスピーディな現代において、画材を手にして描くことや、その表現を鑑賞することの意味や可能性は、デジタル化の加速に比例するかのように、増幅と変容を続けているのかもしれません。

本展では、新進のアーティスト12名による、近作と新作を含むおよそ50点の作品を展示。彼らの実践を辿りながら、現代の絵とその周辺に光を当てます。日常における切実なテーマや、ユースカルチャーの影響などを発想の元に描き出された作品を通して、生と死、公と私、循環、流動的なアイデンティティなどにまつわる、現代のビジョンの一端を多様なイメージで紹介します。

また、VRや3DCGなどを用いてデジタル特有の概念と交差する創作アプローチを取り上げながら、デジタル文化の浸透にともなって進化を遂げる、現代の新しい感覚による描画表現の可能性についても着目します。

パンデミックの時代を経て、フィジカルの体験とオンラインを結びつけることが求められるようになりました。日常における仮想と現実の往還はこれまで以上に活発となり、私たちの身体感覚や知覚にも影響をもたらし続けています。表現活動をめぐる新たな手段や解釈が生まれるだけでなく、従来の芸術作品や手法に対する型にはまった見方や価値観にも創造的な変化が起こっています。そのような今日のリアリティの中で、改めて「絵」とは何かを考えます。

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作家
磯村暖皆藤齋川田知志木村翔馬谷原菜摘子谷本真理永井麻友佳NAZE堀奏太郎松平莉奈渡辺千明吉田桃子
会場
京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA
展示室
@KCUA 1, 2
会期
2021年6月19日(土)2021年8月15日(日)
開館時間
11:0019:00
休館日
月曜日(8/9[月・休]は開館、翌8/10[火]閉館)
入場料
無料
企画
京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA
主催
京都市立芸術大学
助成
公益財団法人 朝日新聞文化財団
協力
EUKARYOTE、FINCH ARTS
お問い
合わせ

京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA
Tel: 075-253-1509
メールでのお問い合わせは、
お問い合わせフォームからお送りください。

Artist Profiles

作家プロフィール

磯村暖(いそむら・だん)
1993年 東京都生まれ、東京都在住。
国内外での歴史や宗教、フォークアートに関するリサーチをベースとし、トランスナショナルな視点でインスタレーションや絵画などの制作活動を行う。近年はACCの助成によるNYでの滞在制作、台湾の關渡美術館やタイのワットパイローンウア寺院での制作展⽰、東京のクラブイベントとのコラボレーションなどフィールドを横断した活動を展開する。
主な個展に「んがんたんぱ」(銀座蔦屋書店、2020)、「OFF THE SIDELINE」(EUKARYOTE、東京、2020)、「Hell on Earth」(UPLINK吉祥寺、東京、2019)、「わたしたちの防犯グッズ」(銀座蔦屋書店、2019)など。
Instagram: danisomura
皆藤齋(かいとう・いつき)
1993年 北海道生まれ、東京都在住。
ナルシシズムと羞恥心、社会規範やカテゴライズに拘束されることのないアイデンティティの形成を主題とした油彩画を制作する。特殊な自慰的行為や作家独自の神話体系になぞらえながら、ある人間たちの内面世界を表出させる。
主な個展に「In search of...」(14a、ハンブルグ、2020)、「たりない従獣」(銀座蔦屋書店、東京、2019)、「IDÉE FIXE」(TONG GALLERY+PROJECT、北京、2019)など。
Instagram: kaito_itsuki
川田知志(かわた・さとし)
1987年 大阪府生まれ、大阪府在住。
建築と都市の関わり、身近な社会、そして生活による環境へのはたらきかけを関心の軸に、社会が構築される以前より存在した人間の痕跡と現代の都市生活の一端を重ね、芸術の根源的な表現行為を追及する。
主な展覧会に「セレブレーション-日本ポーランド現代美術展-」(京都・ポズナン・シュチェチン、2019)、「街と、その不確かな壁と…。」(あまらぶアートラボ、兵庫、2019)、「拆(倒)」(A4 ART MUSEUM、成都、中国、2018)、個展「Open Room」(ARTCOURTGALLERY、大阪、2018)など。平成30年度京都市芸術新人賞。
Instagram: satoshi.kawata78
木村翔馬(きむら・しょうま)
1996年 大阪府生まれ、大阪府在住。
アナログ的な従来の絵画とともに、3DCGやVRを用いたデジタルによる作品を制作する。現実世界と仮想世界を往来する中で、それぞれにおいて特有の視覚性と身体性に着目しながら、今日的なリアリティにおける絵の在り方を探求する。
主な個展に「木村翔馬:水中スペック」(京都市京セラ美術館 ザ・トライアングル、2020)、「クリスタル☆ポリゴン」(KYOTO ART HOSTEL kumagusuku、京都、2019)、「dreamのあとから(浮遊する絵画とVRの不確定)」(ninetytwo13gallery、東京、2018)など。グループ展に「紙より薄いが、イメージより厚い。」(児玉画廊 天王洲、東京) など。「第4回CAF賞」(2017)最優秀賞。
Instagram: shomakmr
谷原菜摘子(たにはら・なつこ)
1989年 埼玉県生まれ、兵庫県在住。
黒や赤のベルベットを支持体に、油彩やアクリルのほかグリッターやスパンコール、金属粉などを駆使し、「自身の負の記憶と人間の闇を混淆した美」を描く。
主な個展に「うきよの画家」(上野の森美術館ギャラリー、東京、2021)、「紙の上のお城」(MEM、東京、2021)、「まつろわぬもの」(MEM、東京、2019)など。受賞に「五島記念文化賞新人賞」(2017)、「第7回絹谷幸二賞」(2015)、「京展・京都市美術館賞」(2015)、「VOCA奨励賞」(2016)など。
Instagram: natsuko_tanihara
谷本真理(たにもと・まり)
1986年 兵庫県生まれ、東京都在住。
経験や体験、行為、現象などから要素を抽出し、遊びや偶然性を取り入れながら、彫刻やインスタレーションへと展開する。近年は、焼き物における粘土の歪みや釉薬の流れなどのコントロールしきれない要因に関心を寄せ、陶による作品を制作する。
主な個展に「ごっこ?」(FINCH ARTS、京都、2019)、「Under 35 谷本真理 展」(BankART Studio NYK、神奈川、2014)、グループ展に「一方そのころ - meanwhile -」(KAYOKOYUKI、東京、2019)、「清流の国ぎふ芸術祭 Art Award IN THE CUBE 2017」(岐阜県美術館、2017、審査員賞「田中泯賞」受賞)、「新・陶・宣言」(豊田市美術館、2011)など多数。
Instagram: maririnyo
永井麻友佳(ながい・まゆか)
1990年 鳥取県生まれ、京都府在住。
私的な経験の中に潜む「薄暗くて心惹かれるもの」を主題として、木炭やパステルを用いた絵画やドローイングを中心に制作する。また、立体や刺繍による作品と絵画を同居させたインスタレーションにより、絵画世界を実空間へと拡張させる。
主な個展に「暗くて、面白くなる。」(芝田町画廊、大阪、2015)、グループ展に「三」(ホックニーギャラリー、RCA、ロンドン、2015)など。
Instagram: mayuka.nagai
NAZE(なぜ)
1989年 茨城県生まれ、東京都在住。
グラフィティカルチャーをベースとして、触覚的な筆致と独特なフレーズを織り交ぜたドローイングやペインティング、収集物を用いたオブジェ、テキスタイルワークなど多彩な作品制作を行う。パフォーマンス集団contact Gonzoのメンバーとしても活動する。
主な個展に「KOREMADE TO KOREKARA」(ANAGRA、東京、2021)、「Flowers」(FINCH ARTS、京都、2020)、グループ展に「ceramic scramble」(ゲンロン カオス*ラウンジ 五反田アトリエ、東京、2019)、「net/stoke GRAFFITI」(Vincom Center for Contemporary Art、ベトナム、2017)、「VOCA展2016」(上野の森美術館、東京)、「鉄道芸術祭vol.5」(アートエリアB1、大阪、2015)など多数。
Instagram: naze.989
堀奏太郎(ほり・そうたろう)
1996年 京都府生まれ、京都府在住。
画像や動画、CGなど大量のイメージに囲まれた日常生活の中で「曖昧になる実在感」をテーマに絵画を制作する。アメコミやSF映画に登場する人物や道具をモチーフとして、それらを平面や立体の支持体に「表面」として描き出す。
主な発表に、グループ展「窓と外」(artgallery opaltimes、大阪、2021)、個展「ホログラムりんごのデッサン」(KUNST ARZT、京都、2020)、二人展「棒とフォース」(京都市立芸術大学、2019)など。
Instagram: sotaro05
松平莉奈(まつだいら・りな)
1989年 兵庫県生まれ、京都府在住。
日本画の古典技法を参照しながら逸話や物語を描く。古今東西における物語の、時代や場所の移ろいに伴う変容性に着目し、「型」を持つ絵画技法との交差点で新しい物語画の在り方を探求する。
主な個展に「うつしのならひ 絵描きとデジタルアーカイブ」(ロームシアター京都、2020)、「悪報をみる―日本霊異記を絵画化する―」(カホギャラリー、京都、2018)など。グループ展に「令和・京・美人」(銀座蔦屋書店、東京、2020)、「隣人をあなた自身のように愛せ」(TALION GALLERY、東京、2019)、「第7回東山魁夷記念日経日本画大賞展」(上野の森美術館、東京、2018)、第一回~第四回「景聴園」(2012-2017)など多数。受賞に「第38回京都府文化賞奨励賞」(2020)、「京都市芸術新人賞」(2017)、「VOCA佳作賞」(2015)など。
Instagram: matsudairarina
𠮷田桃子(よしだ・ももこ)
1989年 兵庫県生まれ、大阪府在住。
音楽を聴いているときの高揚感や頭に浮かぶ映像的イメージを絵画の形式に閉じ込め、観る人にその高揚感を共有させる装置としての絵画を追求する。
主な個展に「scene UKH ver.3.1」(ART ZONE、京都、2017)、「scene UKH ver.3」(三菱一号館美術館歴史資料室、東京、2017)、グループ展に「表裏のバイパス」(藤井大丸ブラックストレージ、京都、2021)、「Kyoto Art for Tomorrow 2019–京都新鋭選抜展–」(京都文化博物館、2019)、「京芸 transmit program 2018」 (京都市立芸術大学ギャラリー @KCUA、2018)など。受賞に「ART IN THE OFFICE2019」、「a.a.t.m.2016」三菱地所賞など。
Instagram: picha106
渡辺千明(わたなべ・ちあき)
1985年 京都府生まれ、京都府在住。
日常や旅先で見つけた興味を惹かれるものをモチーフとし、その印象や雰囲気を油彩で表現する。対象のフォルムや質感、色などを手がかりに繰り返し描き、「写実」とは異なる、個人的な「リアリティ」を伴った記録としての絵を制作する。
近年の発表に、個展「memo」(京都精華大学 kara-S、2019)、グループ展「人工の森」(京都府立府民ホールALTI エントランスギャラリー、2021)、「人と物と風景」(GAMOYON Gallery、大阪、2020)、ピュアロマン(MATSUO MEGUMI+VOICE GALLERY pfs/w、京都、2016)など。
Instagram: w000o0w

Artworks/Photos

参考作品画像など

磯村暖《A glass of water/1000000000000000000000000 water molecule》[写真撮影:松尾宇人]
  • 皆藤齋《Tiger Poet (Playing Tiger)》
  • 川田知志《The soft culture》[写真撮影:前谷開]
木村翔馬《In the Curtains》
谷原菜摘子《Family Portrait》©︎Natsuko Tanihara, courtesy of MEM
  • 谷本真理《遅れてやってくる日記》
  • 永井麻友佳《永井家のお墓》
  • NAZE
  • 堀奏太郎《サノス》
松平莉奈《鵺の解体》
  • 𠮷田桃子《Just hearts, NE town 9》[写真撮影:Tomas Svab]
  • 渡辺千明《風景(雰囲気)》