WORKSHOP @KCUA

たねまきアクア 07

EcoFuturesSuujin

@KCUAでは毎年、国際的に活躍する海外作家の創造と実践に触れる機会として、展覧会や実践的なワークショップ、レクチャーなどを実施しています。2019年度の招聘作家の一人であるジェン・ボーは、史実や社会現象についての緻密な調査をもとに、雑草をはじめとする植物と協働して未来を考察するための作品を手がけるアーティストです。

ジェンは2019年1月と3月に京都での滞在調査を行いました。さまざまな人々との対話を経て、京都市立芸術大学の移転という大きな変化を受け入れようとする崇仁地域の人々が動物や植物と密接に関係した職業に長く携わってきたこと、平等の観念を中心とした長きに渡る社会運動の歴史を持つこと、そして大学移転が、この地域のコミュニティ、景観、生態系を大きく変化させるということに着目します。

そして、2019年5月24日から26日の3日間にわたり、活動家、美術家、建築家、文化人類学者、歴史学者、生態学者など、さまざまな専門を持つ人々と共に、より良き生態学的未来、全ての種の生物における平等をめぐるワークショップ「EcoFuturesSuujin」を実施しました。


ワークショップ参加者:安藤隆一郎、池田精堂、伊勢武史、板井由紀、井上明彦、大西麻貴、岸本光大、草本利枝、黒川 岳、榊原光大、佐藤知久、 ジェン・ボー、垰田ななみ、高橋 藍、中畑伶威、西尾咲子、藤田瑞穂、松本久木、満若勇咲、森 夕香、山内政夫

 

  • 撮影:草本利枝

2019年5月24日|Day1, May 24, 2019 (元崇仁小学校)

各参加者が30分間ずつ「平等」をテーマに講義を行う学びのセッションの日。個人的な経験、専門領域の両方から「平等」の概念を定義したプレゼンテーションと、それに応答する形のディスカッションが行われた。

地域の中だけでは暮らしが成り立たない時代に

どうすれば不平等を感じられるだろう?

How can we sense inequality when our life is no longer local?

 

京都市立芸術大学の新しいキャンパスに
裸足のための道を作るのはどうだろう?

Can we make a barefoot path in the new KCUA campus?

水平社宣言を更新しようとする勇気は
どうすれば湧いてくるのだろう?

How can we garner courage to update the manifesto?

 

どうすれば私たちが果たすべき

もっと大きな責任について考えられるだろう?

例えば作者の許可を得るというような小さな責任ではなく

その作品制作が生態系に与える影響について…

How can we focus on larger responsibilities like the ecological impact of art production, instead of smaller responsibilities like authorial credits?

黒川岳さんがみんなに教えてくれたこと

「じぶんがふっと遠ざかる」の例

  • 水の中に入って水に包まれると
    水と溶け合いそうな感じがする
  • 枝に神さまが乗っていると教わった
    両手に持つと、どっちに乗っているんだろう?
  • 窓の外の樹々に目を向けて、ボーっとする
    あるいは、耳を澄ましたり、何かを想像してみる

2019年5月25日|Day 2, May 25, 2019

(京都一周トレイル西山コース)

ハイキングをしながら、他の生物や参加者と触れ合う日。

途中、ジェンによってあらかじめ用意されていたいくつかの質問が手渡された。山道を歩きながら、ある時は2人組になって対話をしながら、またある時は一人ひとりバラバラになって、その問いについて考えた。

 

 

Day 3, May 26, 2019

(元崇仁小学校)

 

1922年の全国水平社創立宣言の更新案を作成。

参加者一人ひとりが宣言文を起草する。
Each person develops a manifesto.

3人ずつグループに分かれて、話し合いながら宣言文を起草する。
Three persons form a group to discuss and develop a manifesto.

2つのグループに分かれて、話し合いながら宣言文を起草する。
1つ目のグループは1950年代、60年代、70年代生まれの参加者、
2つ目のグループは80年代と90年代生まれの参加者からなる。
Form two groups: those born in the 1950s, 60s, and 70, and those born in
the 1980s and 90s. Each group discuss and develop a manifesto.

2020年3月31日(火)更新

ジェン ・ボー(ZHENG Bo/鄭波)
1974年北京生まれ、香港在住。アーティスト、研究者、文筆家として活動。地域の歴史についての緻密な調査から、政治的な史実、アーカイブなどの過去の事物の調査にそれらを結びつけ、雑草などの植物と協働しながら未来について考察する作品で知られる。彼は良き人新世のために、生態学的な叡智を求めて修行中である。